オーディオ愛好家向けVolumioの活用方法(動作設定編)

 (インストール編)を書いてからから、あっという間に半年たってしましました。催促のメールもいただきました。大変お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。一度に書き切れませんが、完成してからだといつになるか分かりませんから、だらだらと追補していきます。ご容赦ください。

 ヴォリューミオ(Volumioのインストールが済んだら、つぎはラズベリーパイ(Raspberry Pi)で動作させるための準備です。普通に基板をプラスチックケースに入れるだけでも十分ですが、オーディオ愛好家は色々と貼ったり交換したりしないと気が済まないでしょうから、手軽なところで放熱部品(ヒートシンク)を取り付けてみましょう。

ラズベリーパイ(Raspberry Pi) 3B とネット通販で売られていた放熱用部品
ラズベリーパイ(Raspberry Pi) 3B とネット通販で売られていた放熱用部品

 深海などの研究をしていて、Raspberry Piをシビアな条件で使っている友人の話では、信頼性上のウィークポイントは熱暴走だそうです。初期の製品よりは強くなりましたが、私もRaspberry Piを仕事で使うときは熱対策をしています。オーディオにそこまで信頼性は必要ないかもしれませんが、万が一にも曲のいいところで途切れたりしたら許せません。ネット通販で「Raspberry Pi ヒートシンク」などと検索すれば、上の写真のような商品が見つかります。

 金色の大きな方がCPU用、青い小さな方が基板上にもう1つあるLANやUSBのIC用です。こちらのLANやUSBのICの方が熱的に弱い傾向です。放熱は空気の対流と赤外線を出すことで行われるので、写真のようなピカピカとカラフルなヒートシンクではなく、黒いほうが効率が良さそうに思えますが、昔の仕事で人工衛星に搭載する部品を検討した際のデータでは、アルマイトの色による赤外での効率(10 μm帯での熱放射率)の差は意外に少なく、銀でも黒でもほぼ同じでした。

放熱用部品(ヒートシンク)を取り付けケースに入れたRaspberry Pi
放熱用部品(ヒートシンク)を取り付けケースに入れたRaspberry Pi

 ヒートシンクには両面テープが貼ってあることが多いので、それで取り付けたらプラスチックケースに入れます。上の写真では、基板の上にあるフタを外してあって基板が露出してます。この方が放熱に有利なのでそうしましょう。ホコリは吹き飛ばせばいいので気にしません。不格好だなんて言わないでください。冷却ファンが無いことはオーディオ用として実にありがたいことですから。

Rasberry Piの底面にあるスロットに、インストールしたマイクロSDカードを挿入
Rasberry Piの底面にあるスロットに、インストールしたマイクロSDカードを挿入

 マイクロSDカードを挿入するスロットは、Raspberry Pi基板の裏側にあり、ケースの底にも溝が切ってあってそのまま挿入できるようになっています。カチッというまでしっかり差し込みましょう。カードを抜くには、一度カードを軽く押しんで、少し出てきたところを引き抜きます。スロットはそんなに丈夫ではないので、無理に引っ張らないでください。

上からUSBハードディスク、Raspberry Pi(左は電源)、DACを接続した様子
上からUSBハードディスク、Raspberry Pi(左は電源)、DACを接続した様子

 それでは、Raspberry Piと必要な機器を接続しましょう。写真の上側にあるのがUSBハードディスクです。VolumioをインストールしたマイクロSDカードとちがい、こちらには音楽ファイルを大量に保存しますから、4T(テラ)といった大容量製品がお薦めです。予算に余裕があれば、RAID(ライド)といって冗長構成でハードディスクが壊れてもすぐにデータが失われないようにした製品は安心です。そのばあいでも、苦労してリッピングして音楽ファイルが消滅しないように、バックアップコピーははならず保存しておきましょう。

 USBハードディスクとRaspberry Piを接続するUSBケーブルは、オーディオ用ではない、パソコン用の長いケーブルをお薦めします。ハードディスクは騒音を出すので、なるべく遠くに置きましょう。ハードディスクに付属するケーブルは1メートルくらいのが多いので、両端のプラグが同じで長いケーブルを別途購入します。これまで訪問させていただいたリスニングルームは20〜40畳くらいが多かったので、一般的に販売されているうちで最長の5メートルがよさそうです。遠くに離せは、ハードディスクの音も気になりません。

 USBではなく、LAN経由でVolumioにデータを送るLANディスクも使えます。そちらを使うにはネットワーク設定などが必要になりますので、パソコンに詳しい友人かオーディオの弟子に依頼してください。USBディスクの方がシンプルで他のネットワーク機器からのアクセスとの競合が発生せず安定ですが、ウェスタンエレクトリックの部屋とクラングフィルムの部屋といったように、リスニングルームが複数あって音楽ファイルを共用したいばあいはLANディスクが便利です。しかし、USBディスクの内容をコピーして、それぞれの部屋に設置するほうが、データが2箇所にあってバックアップになるというメリットもあるので、わたしはそうしています。

 写真の下側にある銀色のものがDAコンバーター(DAC)です。これはiFiというイギリスの製品で、内蔵バッテリーで動作することの効果なのか、安価な製品ながら音質が良好で、われらオーディオ愛好家でも聴き続けられる最底辺のDACとして知られています。妙な味付けも少なく感じるので、オーディオイベントなどで持ち運ぶときに使っています。その昔CDが普及し始めたころ、やはりバッテリーで動作するパナソニック製のポータブルCDプレーヤーが、据え置きの大型高級CDプレーヤーよりも好印象で、リスニングルームでも使っていたことを思い出します。

 Raspberry PiとDACの接続には、はやりUSBケーブルを使います。DACは遠くに置く必要がありませんが、新しくケーブルを買うなら、やはりパソコン用の細めで長いケーブルをお薦めします。某大手ネット通販の「○○ベーシック」と称する安いケーブルは、全般に太くて曲がりにくいので避けましょう。長ければ、後でチューニングが楽しめます。ノイズだらけのパソコンと接続するわけではないいし、合理的でもないので、オーディオ用の高価なUSBケーブルは必要ありません。

 その他の通信ケーブルは、Raspberry PiのLANケーブルだけです。細めのパソコン用LANケーブルでハブかルーターと接続します。ここで解説する方法では無線は使いません。理由は、気のせいかもしれない細部をうがって大金を投じるオーディオ道楽において、わざわざ電波を発生させたり消費電力を増やしたりするのは道に外れた行ないだからです(電子機器としては正道です)。電源の汚れを気にしてMY電柱建立(お薦めしません)とかやっている愛好家がいるくらいなのに、数ギガヘルツの高周波回路を音楽データの隣で操作させることは、精神衛生にもマイナスです(実際にはCPUなどもギガHzで動作しています)。(カッコ書きが多いのはオーディオの矛盾を表しています)

ところで、I2C DACは?



I2C DACと呼ばれる小さなResberry Piの基板に直接取り付けるDAコンバーター
I2C DACと呼ばれる小さなResberry Piの基板に直接取り付けるDAコンバーター

 さて、上で説明したUSB接続のDACではなく、Raspberry Pi用のI2C DACというものを使うことが流行っていて、「どの程度の音質か?」といったご質問をいただいています。上の写真はその例で、Raspberry Pi用の組立式ケースとセットで4千円くらいでした。I2CはインターIC、すなわちIICを2の自乗で表現したもので、アイスクエアシーと読みます。I2Cは以前からサウンドディバイスなどのハードウェアがパソコンなどの機器内で通信するときに使われていた標準的なインターフェースで、パソコンに組み込みでないDACチップ(デジタル→アナログ変換するIC)への入力としても一般的です。

 I2C DACはむき出しの基板1枚で、Raspberry Piのコネクタに上から挿入することで取り付けと接続が完了します。このようなオプション基板を「ハット」と呼びます。つぎの写真は、I2C DACをRaspberry Piに取り付けた状態です。

I2C DACをResberry Piに接続した状態(コネクタに挿すことで上に載せてある)
I2C DACをResberry Piに接続した状態(コネクタに挿すことで上に載せてある)

 I2C DACはとてもシンプルで、ほぼDACチップ1個にコネクタが接続されているだけです。好条件で測定すれば驚くほど低歪率で、一世代前の高級DAC製品は、物理特性では太刀打ち出来ないくらいでしょう。ですので、あなたが大画面液晶テレビの両脇に評論家がほめちぎったベストセラーの小型スピーカーを並べるくらいのオーディオファンなら、I2C DACで十分です。つまり、90%?のオーディオを楽しむ人々にとって、性能的には数千円のI2C DACで足りてしまうのですから、老舗オーディオメーカーが身売りするのもやむなしです。

 では、われわれ(勝手に道楽仲間にさせていただきました)にとって、I2C DACはどうでしょうか? 写真のI2C DACにはテキサス・インスツルメント社(Texas Instruments)のPCM5122というDACチップが使われていて、32 bit、384 kHz、ダイナミックレンジ112 dBという、申し分のないスペックです。LPレコードをアイボリーホワイトに黒のガラード301に載せるといった、音楽のための美的な儀式性と対極にあるI2C DACの安っぽさはさておいて、純粋に音についての印象を述べると、やはり満足できません。わずかですが、無機質な雑味を感じてしまいます。

 この議論はきりがないので簡単にしますが、結局のところ、デジタル部分はもはや過剰スペックで実用上の差異はないものの、DACチップ内部でパルス密度信号への変換とローパスフィルターでデジタルからアナログになっていく部分から、様々な音質への悪影響を受け始めるということです。やはり、アナログは微妙ですね。PCM1795のようなグレードの高いDACチップは、アナログ信号が外乱を受けにくい電流出力になっているのに対し、PCM5122は簡略化のため直接電圧で出力しているのもマイナス要素です。高圧変電設備内のセンサーなど、耐ノイズ性が求められる用途では、電流出力が一般的です。

Vokumioの起動



 さて、脱線した話題はこのくらいにして、Volumioを起動しましょう。配線がすべてされていて、LAN内にDHCPサーバーというものがあって、LANで使うIPアドレスが自動的に割り振られるようになっていることを確認してください。パソコンを買ってきてつなぐと、ネットワークの設定をしなくてもホームページが見られるのなら、そうなっているはずです。分からなければ、詳しい人に見てもらいましょう。

 それでは、1.USBディスク、2.DAC、3.Raspberry Piの順に電源を入れてください。1.と2.は前後してもかまいません。USBディスクはRaspberry Piが起動するまで電源が待機するかもしれません。Raspberry Piには電源スイッチがなく、ACアダプタを接続することでON、抜くことでOFFです。Raspberry Piの内部でインストールしたVolumioが起動するのに1〜2分かかりますので、なにかミスを見つけたりしても、一旦ONにしたRaspberry Piの電源を3分間は抜かないでください。せっかくインストールしたVolumioが、運悪くクラッシュしてしまうかもしれません。

 Volumioは起動すると、DNSブロードキャストと呼ばれる機能を使って自分のアドレスをLAN内に配ります。Raspberry Piの電源ONから3分以上待ってから、パソコンを起動していつもお使いのホームページ閲覧ソフトのアドレス欄に、
http://volumio
と入力すればVolumioにアクセスできるはずで、上のようなページが表示されれば成功です。パソコンでなくても、Volumioと同じLANに無線でいいので接続されているなら、スマートフォンなどでもアクセスできるはずです。もし、上のように表示されなかったり、「接続できませんでした」などといったエラーが表示されたりするようでしたら、なにか間違いがあります。初めから確認してやり直すか、もう少し後で解説するようにRaspberry PiのHDMI端子にディスプレー(テレビ)を接続して調べることになってしまいます。

つづく。。。

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