クラング・クンストについて
演奏家はオーディオ装置なくして自身の芸術を時空を超えて伝えることができず、録音の無いジェニー・リンドの歌声は想像するしかありません。人々に感銘を与える「名曲の名演奏の名録音」は案外古くからあって、すでに1910年ごろには成熟し始めていたレコード文化は、リリー・レーマンの美声などの貴重な演奏芸術を現代に伝えています。そして、1958年にステレオLPレコード盤が発売されたときには、演奏そのものだけでなく、ステレオフォニックによる会場の雰囲気までも含めた再現が、かなりの高レベルで可能になっていました。もちろん、一部の優れたレコード盤と再生装置によって、という条件付きではありますが、最新のアナログレコード盤よりも鮮やかな音を聴かせてくれさえします。
写真のレコード盤を再生しているピックアップカートリッジは、現在まで続く45-45方式のステレオLPレコード盤用として最初に登場した方式を採用した弊社の製品です。クラング・クンストは、このように一般とは異なるベクトルをもつオーディオ製品と、限られたヴィンテージ機器を扱います。また、失われつつあるものを中心に、オーディオに関する情報をお伝えしたいと考えます。
DSD ダイレクトトランスファー
DSDはアナログ信号をデジタルパルスの密度で表す1ビット形式のデジタルオーディオのフォーマットで、SACDにも用いられています。アナログ・デジタル変換には、早稲田大学理工学部教授などを歴任された安田靖彦氏が開発した、デルタ・シグマ変調という方式などが用いられます。分解能は周波数に反比例して下がりますが、可聴周波数帯域をはるかに越える超高音も再生可能です。反対に、周波数が低くなるほど高い分解能になるので、音楽の核心をなす重要な音域は超高分解能になります。
これらの特性のためか、DSDはアナログに近い音質だとされています。DSDも「ハイレゾ」の一種ですが、「ダイレクト・トランスファー」を聴いていただければ、オーディオ愛好家にとっては「意外にも、古い録音の復刻がハイレゾの最高の用途だ」ということが理解していただけるのではないでしょうか。ダウンロード販売はサイトは、下記のURLです。
http://shinshuu.com/dsda/
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