乱聴録【序ノ二】試聴用のレコード

(2007年10月14日、2015年4月21日)

リスニング・ルームから数十メートルの池の冬景色
リスニング・ルームから数十メートルの池の冬景色

 録音による影響はあまりにも大きいので、当初からの試聴用ソースをそのまま使い続けることにした。条件が許せばそれらを聴き、出先などで無理ならその場のソースを聴くといったところだ。ところで、上の写真は細い道路を挟んで向かいにある池の冬景色で、ごらんのとおりの田舎だ。2013年の改修工事でコンクリートが目立つようになってしまったが、そのうち草に被われるだろう。いまはちょうど桜が満開で綺麗に見える。リスニングルームの一部を2階に増築中で、来年の春には吹き抜けを通じた音を聴きながら、桜と池を眺められそうだ

 「オーディオの真髄は時空を越えた演奏の再現である」とするなら、たとえ古い録音で音質が悪くても演奏が優れていれば、最新優秀録音でも凡庸な演奏より、真剣に再生する必要があるということになる。サイトウキネン音楽祭が近くの松本で開催されることもあって、田舎者としてはコンサートに足を運んでいるつもりだが、現在の演奏家は生を聴いて感動しても、レコードではつまらなく感じることが多い。それにひきかえ、個性ある往年の名手の録音には、聴けども尽きぬ魅力がある。故・池田圭氏が特性の悪い古いレコードが「缶詰音楽」と揶揄されていたのを、噛めばかむほど味が出る「乾物音楽」と表現したのは至言だと思う。カール・フレッシュのヴァイオリンなんて、正しくそうだ。

 試聴用の7つのソースは、楽しんで聴けなければ繰り返し聴くことが苦痛になってしまうので好きな演奏を選んだが、古い録音からデジタル録音、そして、少し歪んでいる録音など、なるべく異なる音の側面を聴けるように配慮した。LP で多くの試聴を繰り返すことは困難なので CD にしたのだが、いまではFLACやDSDなどのファイルを主に再生するようになってしまったので、リッピングしたファイルも使うことにする。

ヨゼフ・ハシッドのオリジナルSP盤
ヨゼフ・ハシッドのオリジナルSP盤

ディスク1 : 「マーラー/子供の不思議な角笛」 : Mahler / Des Knaben Wunderhorn
Elisabeth Schwarzkopf, Dietrich Fisher-Dieskau : London Symphony Orchestra / George Szell : 1969. EMI

ディスク2 : 「モーツァルト/女声歌曲集」 : Mozart Songs II
Claron McFadden(sop), Bart van Oort (Fortepiano 1795) : 2002. BRILLIANT

ディスク3 : 「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」 : Ginette Neveu & Josef Hassid
1938, 39, 40. EMI-TESTAMENT

ディスク4 : 「ショパン/ノクターン全集」 : Chopin Nocturnes
Vladimir Ashkenazy : 1975, 1985. LONDON

ディスク5 : 「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」 : Mussorgsky / Pictures at an Exhibition
Ravel / Bolero : Munchner Philharmoniker / Sergiu Celibidache : 1993, 1994. EMI

ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」 : Waltz for Debby
Bill Evance Trio : 1961. REVERSIDE

ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」 : Sarah Vaughan with Clifford Brown and others
1954. MARCURY

タイトルなし

 まだ問題なく動作するので、独 NTI の AL1 と専用の校正済みマイクロフォンの組合せも可能なときは引き続き用いることにする。もっと詳細なグラフで周波数特性が測定できる装置もあるが、残響の多いリスニングルームでは、この程度の粗い周波数分解が適切だろうと思う。もっとも、AL1 が故障したら高分解能なものに変えるかもしれない。参考のために中心周波数をリストしておく。有効数字を2桁にしてあるので、1.26kが1.3 kHzというように値が丸められている。なお、中心周波数が 20 kHz の場合の周波数範囲は約 18~22 kHz になるので、20 kHz までフラットなスピーカーでも 20~22 kHz で応答が悪くなれば 20 kHz の測定レベルは低下してしまうことになる。

20、25、32、40、50、63、80、100、130、160、200、250、400、500、630、800、1.0 k、1.3k、1.6 k、2.0 k、2.5 k、3.2 k、4.0 k、5.0 k、6.3 k、8.0 k、10 k、13 k、16 k、20 k

タイトルなし

最後の画像はスピーカーから音を出さずに測定した、リスニング・ルームの環境騒音である。普段は鳥たちの声と水のせせらぎに、少しだけ車の騒音が聞こえるという静かな環境なので、ご覧のように都会では考えられないほど騒音レベルが低く、測定に与える影響はわずかである。とはいえ、8インチ・フルレンジなど、低音の出ないユニットの測定結果に現れる重低音は、この環境騒音がかなりの部分を占めているばあいがある。この画像程度のレベルなら、まったく再生されていないと理解していただきたい。

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