DSD音楽ファイルの再生方法

2015年7月 (2016年12月改訂)

 DSDIFFやDSFといったDSDフォーマットの音楽ファイル(以下、単にDSDとします)を再生できる製品は豊富に発売されているので、いまでは簡単に再生できますが、注意しなければいけないのは、「DSDフォーマットをPCMに変換してから再生しているばあいが少なくない」ということです。必ずしもPCMに変換したからといって音質が低下するわけではありませんが、せっかくDSDファイルを入手して「やはりDSDはアナログに近い」なんて悦に入っていたら、じつはPCMを聴いていた、なんてことにならないようにしてください。

 DSDをDSDのまま再生する(ネイティブ再生)には、大きく分けて以下の2つの方法あります。

(1)DSDに対応したネットワークプレーヤーやディスク内蔵プレーヤーといった製品を使用する
(2)パソコンなどに再生ソフトをインストールし、DAコンバーターを組み合わせて使用する

単体でのDSDネイティブ再生に対応した製品であるSONYの HAP-Z1ES
単体でのDSDネイティブ再生に対応した製品であるSONYの HAP-Z1ES

 (1)の方法ではソニーのHAP-Z1ESなどの単体でDSDをネイティブ再生できる製品を購入し、LANとオーディオ装置に接続します。パソコンに再生ソフトをインストールする必要がないのでパソコンが苦手な人でもOKかというと、音楽ファイルをその製品に転送する必要があるので、ある程度はパソコンやLANをいじらなくてはなりません。製品カテゴリー名は概ね「ネットワークオーディオプレーヤー」になったようですが、大容量ディスクの有無などによって、独自の呼び名をしているメーカーもあります。主な特徴は以下のようなところでしょう。

(1)の方法の長所
 ・アンプのように、オーディオコンポーネントとしてまとまっていて一般に完成度が高い
 ・一度ファイルをコピー(転送設定)してしまえば、パソコンの電源を入れずに再生できて静か
 ・音楽の開始や終了でノイズが出たり、不安定になったりすることが少ない

(1)の方法の短所
 ・製品だけでは音楽ファイルのダウンロード購入などができず、結局パソコンのお世話になる
 ・ハード、ソフトとも世代交代が速いので、ファームウェアのアップデート程度では時代遅れになる
 ・小さな液晶など、パソコンに比べると操作性が劣り、反応も遅い製品が多い

[ref.] 流行り廃れが速いので、参考サイトは検索結果にさせていただきます。

少し古いモデルですが、コルグのDSDネイティブ再生に対応したDAコンバーター DS DAC-10
少し古いモデルですが、コルグのDSDネイティブ再生に対応したDAコンバーター DS DAC-10

 いっぽう、(2)の方式は、パソコンにAudioGateやfoobar2000といったDSDに対応した再生ソフトをインストールし、DSDのネイティブ再生が可能なDACと組み合わせます。AudioGateはコルグの製品ですので、同社のDACと組み合わせれば比較的簡単にDSDの再生が可能です。しかし、コルグ製以外のDACではDSDをPCMに変換してしまうようです(執筆時点での情報)。コルグ製以外を使うばあいは、foobar2000というフリーソフトを使うのが一般的です。foobar2000は普通にインストールしただけではDSDの再生ができず、少し複雑な追加設定が必要です。(2)の方式の特徴は(1)の裏返しになります。

(2)の方法の長所
 ・再生ソフトを自由に選べるうえ、複数インストールでき、最新のものが使える
 ・好きなDACを組み合わせられ、好みの音に仕上げられる
 ・操作性と拡張性が高い

(2)の方法の短所
 ・インストールや設定が面倒で、安定性と静寂性に劣る
 ・音楽を聴こうとパソコンを立ち上げると、Windowsやウィルスソフトがアップデートをはじめる
 ・パソコン内での不透明な処理による音質劣化の心配がある

[ref.] Audio Gate に関する情報です。
[ref.] foobar2000でDSDを再生するための設定方法の情報です。

ケースの長さが9.5 cmしかない小さなラズベリーPi2 (外部USB電源などが必要です)
ケースの長さが9.5 cmしかない小さなラズベリーPi2 (外部USB電源などが必要です)

 もうひとつ、(1)と(2)の中間の方法があります。それは、(1)の製品に近いものを作るという方法です。作るといってもハンダ付けをするわけではなく、基板1枚の超小型コンピューターとDACを組み合わせるだけです。実際に、(1)の各社製品の中身もそのようなものなので、(2)よりもさらにハードルは高いですが、(1)と(2)のいいとこ取りに近い結果が得られ、お薦めです。

 具体的には、ラズベリーPiなどの超小型コンピューターにVolumioといった再生システムをインストールし、DSD対応DACとUSBケーブルで接続します。パソコンからLAN経由でVolumioの操作ページにアクセスします。大容量の外付けハードディスクと組み合わせての使用は安定していて音質もよく、とても快適なので、わたしも愛用しています。ラズベリーPiは安価ですが、何十倍、何百倍といった価格のオーディオ製品にも勝るシステムに発展する可能性があります。

[ref.] ラズベリーPiにVolumioをインストールしてDSDを再生する方法の情報です。

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